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2007年07月18日

「消える総生島」はやみねかおる

4062757923消える総生島<名探偵夢水清志郎事件ノート> (講談社文庫)
はやみね かおる
講談社 2007-07-14

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 シリーズ3作目。人が、山が、館が、島が消えるーーという消失尽くしのミステリ。ミステリファンには堪えられない設定だが、トリックの出来というか使い方はてんで低レベル。1作目の『そして五人がいなくなる』では、使い古されたトリックを上手く調理したその手際が見事だったが、今回は「使い古されたトリック」を生煮えで放り出してあるだけ。こんな質の低いパクリ作品をミステリの入り口として読む児童がいたとすれば、あまりにも哀れだ。
 それに加えて、動機の描き方もどうかと思った。あたしゃ、別に体制派ではないので、小説内で国家批判をやること自体は全然OKだ。ただ、やるんだったら、きちんとした視点からやってくれないと、そりゃイカンだろ。一方的に国が悪者になるような設定を作っておいて、「だから国はダメなんだ」と落とす。イカれた新興宗教家あたりが使う詐術を、少年少女向けに書いた小説で用いるいう魂胆に薄ら寒いものを感じる。単なるバカジジイがストレートに説教でも垂れてくれた方が遙かにマシだ。
 そして平和主義思想まで盛り込んであるのが、かなり性悪。作者がそこまで意図したかどうかは分からないが、「戦争は国家という『悪』のせいで起きたものであり、個人には責任がない」みたいな解釈をする児童が沢山出そう。心底困ったちゃんな小説である。
 児童小説としてもミステリとしても、 2作目の『亡霊は夜歩く』にはかなり不満感が残ったが、本作は輪をかけてダメダメ。「子供に読ませたくない本」として認定。というか焚書にしたいね。って『神様ゲーム』(摩耶雄嵩)を「子供に読ませたいミステリ」と考えている私が言っても単なる異端論としか受け取ってもらえませんかもらえませんね。

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posted by omsoc at 00:12| Comment(1) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まあね、あのへんは自分もつまんないと思ったよ
魔女の隠れ里とか機巧館の数え歌とかの
後味の悪いはやみね先生ならではのさくひんがいいよね
Posted by cococo at 2015年06月29日 18:29
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