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2012年01月17日

もう17年

 ここ何年かですっかり定着したように、式典の様子を生中継していたのはNHKだけあった(首都圏の場合)。人間は忘れてナンボ、な生き物なので、これはこれで健全なことなのだろう。
 とはいえ、もうすぐ、3月11日もやってくることもあり、何とはなしに気分の重たい朝である。
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確か、アニメ版では「そうさのう」が口癖

 またしてもBBC radioネタ。
 radio4 extraのドラマページを見ていると、"The Inspector Alleyn Mysteries"という文言を発見。ついでに、"Adaptations of Dame Ngaio Marsh's tales of the gentleman detective"とも記してあり、んんーと思ってリンクを辿っていくと、"Lord Wutherford meets a nasty death at the home of the Lampreys."なんて書いてある。おお、つまり、これはナイオ・マーシュ『ランプリイ家の殺人』のドラマ化ですな。
 さすがに新作ではなく、 2007年制作したものの再放送のようだが、それでもドーヴァー警部ものに続けてこんなレトロミステリを放送するなんて渋いなあBBCーーと思ったら、マーシュ女史の作品は、英国では現在も愛読されているようである。なんせ、全長編をまとめた11巻の全集が2009年から2010年にかけて刊行されているくらいで、これにはちょいと驚きました。

banner_01.gif← 1月19日から20日(英国時間)放送予定です
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2012年01月12日

「奇面館の殺人」綾辻行人

奇面館の殺人 (講談社ノベルス)
奇面館の殺人 (講談社ノベルス)綾辻 行人

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 「シリーズ:『シリーズ』を読む」その2(その1はこちら)。って、その3があるかどうかは不明ですが。
 本当のところ、「館」シリーズが「信頼出来る」かどうかは微妙なところだし、この作者に至っては裏切られたこと幾度、なのだが、近作『Another』の出来が良かったのと、「館」シリーズ奇数作良作説(『暗黒館の殺人』は微妙だけど、あの冗長さを切り詰めてさえいれば、まあ悪くない作品になった筈ーーと思うことにしておく)という持論があるので、それらに従いつつ、でも幾らかおっかなびっくりな気分で読んでみた。
 意外、と言ったら作者には甚だ失礼だが、良作でした、本当に。

こんなとんでもない状況は前代未聞ではないか、と思う。現実に起こった事件については云わずもがな、古今東西、さまざまなミステリの物語中で描かれた事件を見渡してみたとしても。

 と作者が、作中の探偵役にわざわざ言わせているような空前の状況下で事件は推移する。どういう状況なのかは、タイトルやらオビ文句やらから、概ね想像は付くと思うが、しかし改めて情景を想像してみると、こりゃギャグかバカミスか、である。この大胆な設定にまず座布団1枚。
 で、その「状況」の理由に座布団1枚。いささかネタバレ気味なので一部伏せ字とするが、ネタは、ミステリを読んでいる人こそ気付きにくいというか先入観が邪魔をするというか、なものであり、連想したのはこれ
 この点については、死体の「首切り」も同様で、そのコンビネーションにも座布団1枚。「顔がない死体、または顔が隠れている人物」が出てくるとついつい「入れ替わり」とか「二人一役/一人二役など」の可能性を考えてしまい、そのバリエーションを疑ってしまうのはミステリ読みの宿痾である。そこに追い打ちを掛けるように、十指が切り取られているし、さらに登場人物が記号化されているという点が共通するシリーズ先行作が脳裏に散らついてしまうと、もうダメである。そういう狭窄化した思考の裏をかいた作品が既にあるにも関わらず(上に記した「これ」がその典型例)、今回もまんまと引っ掛かってしまった。
 加えて、導入からして仕掛けめいた匂いが猛烈に漂っていて、つまり、鹿谷門実は「代役」で、直接招待されたというプロットにしなかったのは何故だろうと疑念を抱いているところに、読み進むにつれ明らかになる「前代未聞」な状況が重なると、これまたついつい「代役を依頼した日向がアヤシイ」という隘路に陥る(私だけか?)。この導入にも、ミステリ的にきちんとした必然性が勿論あったわけだが、ミスリーディングの計算が行き届いていて、その仕掛けの正体が上手く隠蔽されていると感じた。ここにも座布団1枚。
 その他にも様々なトリックが隠されており、その1つ1つは小ぶりだけど、丹念に磨いたそれらをキチンと収まるべきところに収めたその手練は実に見事。大仕掛け一発で驚倒させるような往年の派手さはなくとも、職人芸で唸らせる円熟の域に綾辻センセーも達せられたのかと感慨を深くした次第。「八百枚超」(作者あとがき)の長さで事件は1つしかおきないにも関わらず、全く長さを感じない小説技法(『暗黒館』への「ムダに長い」批判を真摯に受け止めた作者はエライ)にも座布団を追加ーーということで、積み上げられた座布団の枚数は相当なもの。なら豪華賞品進呈ということで、本格ミステリ大賞を差し上げたい。いや、本当に獲っても全然不思議ではないし、この作者の新たな代表作であることも間違いない。
 伏線の張り方が丁寧なので(贅沢を言うと「論路のアクロバット」があると最高だった)、読んでいる途中でトリック・犯人を看破する読者は多数いると思う(カンの悪い私は全然ダメだったが)。しかし、それはこの作品の場合は決してマイナスではない。マジックの大半は、そのタネを知ると「なんだ」と呆気なさしか残らないが、中にはタネを知ってその仕掛けの巧みさに改めて感心させられるものもあり、『奇面館』は後者のタイプに属する本格ミステリであるのだから。

 直接的なネタバレも含めたコメントいくつか。
 - タイトルの読みが共通という理由だけで読む前からこれを連想していたら、「首切り」の理由の方向性が似通っていて勝手に納得。それとも、これも一種の伏線っすか?
 - 過去作つながりということでは、「容疑者が同姓同名だらけ」という趣向から思い出すのが、当然これ。すると最近出たこちらも想起するわけで……時期が重なったのは単なる偶然だろうが、面白い。
 - 登場人物による「自慢語り」(414頁)はちょっと品がないようにも思うが、出来が良かったから許すことにしようか。
 - 細かいツッコミどころもいろいろあるけど、全体の出来が良かったから以下同文。ただ、一度会って違っていれば、何度会ったところで<もう一人の自分>にはなり得ないんではなかろうか(ある種の「狂人の論理」だからツッコミ入れても仕方ないんだろうけど)、という点は妙に気になったので書き残しておく。

banner_01.gif← 偶数作は「ハズレ」気味、ということは次回完結作は駄作の予感……全十作ではなく全十一作にしてもらえないだろうか
posted by omsoc at 00:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月08日

海峡じゃないよ、警部だよ

 BBCのradio 4 extraを覗いたら、トップに"Inspector Dover"の文字が踊っていて、心底びっくりした。ご本人とそのご親族、およびファンの皆さんには失礼極まりないことだが、ジョイス・ポーターなんて、存在そのものを完全に忘れてましたがな。
 BBCは再放送率がかなり高いので、それかと思ったら(再放送だって十分驚くに値するけど)、"4 Extra Debut"とあるから新作なんだね。日本で例えると何だろう。NHKが陶展文ものをドラマ化するとか、そんなところか?
 ひょっとしたら、イギリス本国では今だに根強く読まれているんだろうかと思って、amazon.co.ukを見たところ、概ね絶版。ダルグリッシュとかフロストとかダルジールとかモースとかダイヤモンドといった警部さんやら警視さんやらが活躍するドラマは結構ウケているみたいなので、その辺のファン層を狙ってなのかなあ。
 来週火曜10日(英国時間)の"Dover Goes To Pott"(邦題:『ドーヴァー5/奮闘』、thanks to 「翻訳作品集成」)を皮切りに、計4作が放送される予定。ラストを飾るのは"Dover and the Unkindest Cut of All"、つまりあの『ドーヴァー4/切断』である。尚、BBC radioは放送後1週間以内であれば、日本からでも無料オンデマンド聴取可能です。

 ドーヴァーもの、私自身は、大昔に『切断』を読んだきりだなあ。筋はほぼ完全に忘れているけど、根幹のネタは強烈で忘れがたい。今で言うところの「イヤミス」だと思うので、復刊すると面白がる読者は多いと思うが……翻訳権を持っているのがハヤカワじゃどうしようもないか。

banner_01.gif← 次はフレンチ警部もののドラマ化を熱望
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2012年01月07日

「彼女が追ってくる」石持浅海

彼女が追ってくる (碓氷優佳シリーズ)彼女が追ってくる (碓氷優佳シリーズ)
石持浅海

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 環境がいろいろと変わり、ここしばらく、殆ど本を読む時間がない。いや、時間はそれなりに作れると思うのだが、気力がない。
 こうなると、地雷本は極力避け、安全パイーーつまり、信頼できる作家の、信頼出来るシリーズを読むことになる。

 ということで、選んだのが本書。事件が発覚するまでを描いた『そして扉が閉ざされた』、事件が起きるまでを描いた『君の望む死に方』、と倒叙ミステリの新たな展開を開拓してきた「碓氷優佳シリーズ」(といつの間にか命名されたようである)。今回の趣向は「この手で殺した、かつての親友が握る謎のメッセージ」(オビから引用)、つまり「既に死んだ被害者 vs. 犯人」という構図なわけだが、これって単に「ダイイング・メッセージ」ものということだからなあ。「被害者 vs 犯人」が必ずしもメインではないが、例えば古畑任三郎の幾つかのように「倒叙 & ダイイング・メッセージ」の前例はあるわけだし。
 加えて、この「謎のメッセージ」の取り扱い方がご都合主義過ぎる。ペアの片割れが見つかったら、もう片方はどこなんじゃろかと考えるのが普通で、揃いも揃ってそこに頭が回らないなんてことがあるかね。
 で、そこに思いが至ると、ミステリを成立させるための制約とこの作者の癖とから、その所在の見当が付いてしまうし、さらに芋蔓式に結末の方向も読めてくる。構造がちょっとストレート過ぎて、この辺りもどうかと思う。
 読みどころは、探偵が犯人に気付くきっかけと、警察の介入を巡っての探偵と犯人との攻防戦くらいか。それより何より、短くてサクサク読めるのは、実に有難い。
 一時期流行った「人間が描けていない」という言葉は、この作者のためにあると前から思っているが、ともかく相変わらずの感情移入不能っぷりを堪能出来たから、個人的にはまあいいかな。そもそも、あんな動機で本当に殺すかね、と思っているところに、いえいえ殺し合いなんです、と畳み掛ける無神経っぷり大胆さには、心の底から平伏しますわ。

 三部作というのが元々の構想だったと記憶しているのだが、これで終わりというのは寂しいので、捲土重来を期待したい。

banner_01.gif← さて、上の文章にはミステリファンを自称するには致命的とも言うべき誤りがあります。どこでしょう? 
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2010年11月24日

刑事コロンボ「ハッサン・サラーの反逆」

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 これまで議員候補(『野望の果て』)やら上司(『権力の墓穴』)やらを敵に回して捜査をして来たコロンボだが、今回の犯人は総領事代理というこれまた大物。外交官特権を盾にして、犯人がコロンボに掛ける圧力はこれまでになく苛烈。んが、状況が厳しくなればなるほど(秘かに)燃える男・コロンボ。彼お得意の粘着ぶりの方も苛烈極まりなく、犯人との駆け引きは「場外乱闘」レベルの激しさである。
 ミステリ的に冴えているのは、最初のコロシの現場。例によって独自の目の付け所を発揮して、コロンボは事件に疑念を抱くが、その切っ掛けが秀逸である。単純なワン・アイデアなのだが、手掛かりは視聴者の目にも晒されており、フェアプレイとしては完璧である。
 残念なのは、最後の「落とし」。「目には目を」といったところで、作品全体の構造から言えば綺麗と見る向きもあるかもしれないが、決してミステリとしてのロジックに支えられたものではないのがツライ。あと、コロンボシリーズを見慣れた人からすれば、国王帰国のシーンを見た瞬間、オチが読めてしまうのではなかろうか。
 とはいえ、オチは皮肉がなかなか効いていて、見終わった後の印象は決して悪くない。先に書いたコロンボvs.犯人のバトルとか、コロンボのしょぼくれ芝居など、ドラマとしての見所は満載なので、やはりファンとしては見るべき価値のある一作。

banner_01.gif← ま、旧シリーズで見るべき価値のない作品なんてないですけど 
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2010年11月22日

「シャドー81」ルシアン・ネイハム

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ルシアン ネイハム Lucien Nahum

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 今や古典と呼ぶに相応しい傑作娯楽小説の一つ。一昨年にこの名作を再刊した早川文庫版のオビには「冒険小説の新たな地平を切り拓いた」という売り文句が踊っているが、強ちウソじゃあない。何十年かぶりの再読なのだが、「ベトナム戦争」という時代設定を別にすれば、全然古さを感じなかった。
 一言でまとめると倒叙形式の誘拐小説(の変形)で、「誘拐」の卓越した設定だけで、この作品の成功は保証されたと言ってもいい。計画の準備段階を描いた第一部が前半約1/3を占め、そこを読み終えると、いよいよ計画が実行に移される第二部が待っていて一気読みである。
 欲を言うと、ほぼ犯人側の計画が卓越し過ぎていて、警察側が為す術もなく、ほぼ予定通りに事態がスルスルと進行してしまう展開に一捻りあると嬉しかったかも。酸素漏れのくだりなんかは膨らませようがあったようにも思うし、ロートル記者バーニーの話は全体から浮いている。

 とまあ、完璧ではないけれども、今読んでも秀作であることは間違いない。また絶版になってしまうかもしれないので、入手可能な今の内に是非一読を。

banner_01.gif← 出来れば、オビもあらすじも表紙絵も見ずに、予備知識なしで読むのがベスト(って無理か……) 
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2010年11月19日

「セカンド・ラブ」乾くるみ

セカンド・ラブセカンド・ラブ
乾 くるみ

文藝春秋 2010-09
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だって、この人の場合はいつもラストで驚く。二編ともそうだ。ほとんど伏線がないだけに本当に度肝を抜かれる。たちの悪いお化け屋敷みたいな感じ ーーー『密室本 メフィスト巻末編集者座談会』講談社ノベルス編集部・編


 「三つ子の魂百まで」というか何というか。
 乾くるみの最新作は正しく「たちの悪いお化け屋敷」であった。いやはや。はっきり言って、『イニシエーション・ラブ』のオチなんて、これに比べれば可愛いもんだ。
 本作を本格ミステリと呼んでいいのかどうか。でも本格ミステリファンなら、やっぱり読むべきだと思う。
 釈然としなかった点を敢えて書くと、感触(触感)で同一人物とは分からないものかね。性経験が少ないと厳しい、てか?

banner_01.gif← 引用箇所にある「二編」というのは『匣の中』『Jの神話 』のことです。一応、念のため

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2010年09月12日

刑事コロンボ「断たれた音」

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 えーと、チェスつながり、ということで鑑賞。って、単なる偶然ですウソです、すいません。
 『刑事コロンボ』が、その「らしさ」をいよいよ発揮し始める第2シーズンの中の1作。脚本は、あの『二枚のドガの絵』のジャクソン・ギリスで、そのセンスの片鱗は本作でも窺える。ミステリとしては殆どムダのない展開で、2回見直して「ああ、あそこでの犯人とコロンボの掛け合いが、このシーンのこれにつながっているんだな」という発見も幾つかあり、非常に緻密な印象。また、「プライドが高く、知的で、かつ短気」という犯人の性格造形が、しっかりと事件全体に絡んでくるという構成もよい。
 というわけで、ほぼパーフェクトな出来なんだが、惜しむらくは、肝心要の犯人を追い込む最後の一発が、論理的に脆弱なこと。「安全装置が働いて、被害者を放り込んだ粉砕器が止まったなら、スイッチを入れ直すのが普通。それをしなかったのは犯人が機械が止まったことに気付かなかったため。つまり、粉砕器の作動音が止まったことに気付けない耳が不自由な者が犯人でしかあり得ない」というのがコロンボの理屈。だが、「事故に見せかけようというのが、元々の犯人の狙い、スイッチを入れ直せばその狙いが外れてしまうので、この場は一旦あきらめるしかなかった」と犯人が考えた、という可能性だってある。コロンボの罠に気付いた時の犯人の反応は、音響との相乗効果も合って非常に「見せる」ものになっていて、「これをやりたいがためのロジックだったんだろうなあ」とは想像が付くが、やはりミステリとしては大減点。傑作にし損ねた佳作という評価が妥当かと。

banner_01.gif← 「息抜き」として登場するコロンボの飼い犬「ドッグ」の使い方も巧みで、その辺りのバランスもよく取れた脚本なんだけどなあ
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2010年08月29日

「小説家という職業」森博嗣

小説家という職業 (集英社新書)
小説家という職業 (集英社新書)森 博嗣

集英社 2010-06-17
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おすすめ平均 star
star小説内リアリティ。
star”書きたいから書いているだけ”作者像幻想って根強いですよね。
star万人受けする内容ではない

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 タイトルにある通り、ネタは「小説家論」。以前読んだ「大学論」ともいうべき『大学の話をしましょうか』同様、本人の職業経験に基づいて書かれているので説得力はある(が、さりとて鵜呑みにすると著者の術中に嵌る)。ともかく、森センセーらしいヘリクツ逆説溢れるレトリックが楽しい。『Vシリーズ』の革新性(と思う、多分)について行けず、センセーの小説を読む気の失せたロートルミステリィ読みでも、この手のエッセィならイケます。

 (引用者注:小説家になるには)どうすれば良いのか、という方法論は存在しない。それよりも、そういった方法論を人に尋ねる姿勢が、既に大きな障害といえる。もし、あえて返答するならば、意地悪になるけれど、「まず、小説を読まないことです」になる。

 仕事には締切がある。いつまでになにを書くのか、そのあとのシリーズの展開はどんなふうにするのか。近いものは3年くらいさきまで、すべて予定を決め、遠いものは10年くらいさきまで、だいたいの方針を考えておいた方が良い。(中略)たとえ予定どおりにいかなくても、現実を多少でも予定(つまり理想)に近づける努力をすることが、有意義な人生というものだと思う。もし、予定のとおりに現実を築くことだできれば、それが「自由」というものではないか。

 たとえば、会話に表れる痺れるようなフレーズとは、これを喋ろうと待ちかまえていたものではない。流れの中でふと思いついて自然に出るから輝くのだ。執筆においても、あらかじめ考えておいたものをいつ使おうか、などと考えていては、自然な会話にはならないだろう。

 デビュ時のこともちょこっと書いてある。元々は4番目に書かれた『すベてがFになる』が、講談社編集部の提案で1作目に回されたというのは、ミステリィファンにはよく知られたことだろう。これは、『F』を読むなり、あるいはその構想案を聞くなりして、編集部がそう判断したのだと勝手に思いこんでいたのだが、事実はさにあらず、のようだ。でもって、その理由というのがかなり大胆で、こればかりは名編集人・宇山日出臣氏の慧眼というか思い切りの良さに拍手を送りたい(いや、この部分も創作かもしれないが)。

banner_01.gif← ということで『F』にまつわるエピソードを知ることが出来ただけで、元は取れた気になりました(森博嗣のコアなファンなら誰でも知っている話?)
posted by omsoc at 01:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説以外) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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