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2010年03月31日

「追想五断章」米澤穂信

追想五断章
追想五断章
集英社 2009-08
売り上げランキング : 51229

おすすめ平均 star
starミステリーの歴史に残るべき傑作
star楽しめる作品
starリドルストーリー

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 今年度の本格ミステリ大賞候補作5編のうちの1つ。
 叔父が営む古書店に居候を決め込む芳光に、ひょんなことから舞い込んだある女性からの依頼。それは、亡父が生前どこかに発表した5つのリドルストーリーを探し出して欲しいというものだったーーというのが話の主旨。ミステリとしての読みどころは、「新本格」以降盛んとなった「連作短編全体に一つの仕掛けが施されている」という趣向のバリエーション。実現にはかなりの技巧が必要で、全く方向が違うながらも泡坂妻夫先生を連想した。カンの鋭い方は、早々に作者の狙いを見破れるのかもしれないが、私はそっちの方向を全く考えてなかったので、第7章で「おおっ」と思わされてしまった。昨今の長編ミステリとしては分量軽めなのだが、密度は濃い。

 ミステリから外れた部分では、登場人物それぞれが抱えているやるせなさ、バブル崩壊間もない平成4年という時代設定、そして作中に挟み込まれたリドルストーリーの悪趣味さ。それらが産み出す一貫した閉塞感が妙に魅惑的であった。以前読んだ『インシテミル』もある種の閉塞感に蔽われていた物語だったが、ただそれは徒なものと思えて、あまり受け入れられないものだった。それに対し、本作の閉塞感はこの物語を推進するために不可欠なもので「あり」である。
 
 「リドルストーリー」のほぼ同義語として「オープンエンド」という小説用語があることは周知のことだ。文字通り「開かれて」終わる物語。だが、リドルストーリーこそ、実は「閉じた」物語なのかも知れない。そんなことを、最後の一行を読んだときに考えた。

banner_01.gif← 作中小説の出来もさることながら、作中書簡が輪を掛けて圧巻でした
posted by omsoc at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月21日

「年収150万円でも海外旅行に行く一家!」

 というタイトルの記事が、先月の雑誌『ダイヤモンド ZAi 4月号』(いわゆる株雑誌)に掲載されている。
 これが何と、あのSF作家・北野勇作のご一家のことなんだな。
 「食費は一月約1万円」とか「パン耳一袋30円で昼食1週間分」とか「トイレは3人分まとめて流す」などなど、工夫すれば「ワーキングプア」なんてどこ吹く風、といった風情だ。しかもこれでパリ15泊40万円(年収の3割だ!)の旅まで出来てしまうのだから、大したものである。
 同種の企画があるようだったら、次はミステリ作家部門から殊能将之センセーに登場願いたい。

 奥様の森川弘子はこんな本も出している模様。いや、ご立派。

年収150万円一家
年収150万円一家
メディアファクトリー 2009-10-14
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おすすめ平均 star
star楽しく明るく節約生活
starその心意気に感服
star参考になります!

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banner_01.gif← 教えてくれた知人A嬢に感謝。今年は儲けが出るといいですね
posted by omsoc at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月20日

「99%の誘拐」岡嶋二人

99%の誘拐 (講談社文庫)
99%の誘拐 (講談社文庫)岡嶋 二人

講談社 2004-06-15
売り上げランキング : 185590

おすすめ平均 star
starプロットが不磨すぎてシステムが異常をきたす
star岡嶋二人の最高傑作
star引き込まれる

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 言わずと知れた誘拐サスペンスの傑作を約20年ぶりに再読。「誘拐もの」に限定すれば、古今東西これまでに書かれたミステリーで五指に入ると言っても過言ではない力作である。発表当時に読んだ際の興奮は忘れられない。
 岡嶋二人が(少なくとも井上夢人が)「人間を描く」ということに、どちらかと言うと後ろ向きであることは『おかしな二人』に記されていたと記憶しているが、事件の主役・生駒慎吾の描き方は見事だ。この人、どう考えてもゲーム作りの天才なわけで、なら、それでソフト売って大儲けすることを考えるのが普通。こんなリスキーな犯罪に手を染めるなんて、殆ど狂気の沙汰である。だが、その狂気さを支える動機に説得力があるし、何より彼の執念を象徴する「あなたは、誘拐された経験がありますか?」という一言が熱い。
 ネット上をちょろちょろと見ていたら、タイトルの「99%」について諸々の解釈があって興味深かった。私はごく単純に「間宮を容疑者に仕立て上げ損ねた」のが欠けた1%だと思っている。なお、この「機械仕掛けゆえに不測の出来事に対応しきれない」という点で、ある有名国産ミステリを連想した。
 作中で使われている技術の数々については、殆どの読者が知らないもの(少なくとも発表当時。ただし、中の幾つかは、20年以上経った今でも、その信頼性も踏まえれば、ある種、「近未来SFガジェット」に分類していいかもしれない)なので、こちらが推理を働かせる余地は残念ながら少ない。それでも、肝心要の部分ではきっちり本格している。前半のある章なんて、単なる人物紹介と思わせておいてーーだもんな。
 テクノロジーの面だけ見れば、確かに古びてしまった感はあるかもしれない。だが、この作品の本質はいつまでも古びることなく、今も、そしてこれからも読者の胸を打つ筈だと強く信じている。

banner_01.gif← さほどコンピューター方面に強くない知人に勧めてみたら、読了後曰く「全然古いなんて思わなかった」と言うてました
posted by omsoc at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月26日

「NHKにようこそ!」滝本竜彦

NHKにようこそ! (角川文庫)
NHKにようこそ! (角川文庫)
角川書店 2005-06-25
売り上げランキング : 44931

おすすめ平均 star
star21世紀の傑作
starダメ人間
star鬱小説を気取ったボーイミーツガール

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 ひきこもりによるひきこもり小説、ということになるらしい(巻末あとがきに基づく私なりの解釈)。
 常人とかけ離れた(ひきこもりだもんな)独特の論理(不条理、とも言える)が冴える前半は素直に楽しい。だが、その調子が延々と続くと笑いよりも悲惨さの方が先に立ってしまうんだがなあ、となってしまう後半をどう評価すべきなのか。少なくともエンタメ小説からは逸脱していると思った。『失踪日記』(吾妻ひでお)みたいなものを一方的に想像して読んでみたら、村上春樹の初期小説のようだったーーというので何らかの説明になっているだろうかなってないよなきっと。

banner_01.gif← 当方の解釈では、NHKとは「日本変態協会」
posted by omsoc at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月16日

「もいちどあなたにあいたいな」新井素子

もいちどあなたにあいたいな
もいちどあなたにあいたいな
新潮社 2010-01-20
売り上げランキング : 2233

おすすめ平均 star
star期待はずれでした
star裏切られた気がします
star若い世代はこれをどう読むのだろう

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 大好きな叔母の"やまとばちゃん"が、一粒種の愛娘を僅か生後4ヶ月で失ってしまった。姪の澪湖は叔母を心配するが、やがて気付く。この叔母は、私の知っているやまとばちゃんではない。
 著者7年ぶりの長編は、何を書いてもネタバレになりかねない問題作。これはSFなのか、ホラーなのか、はたまたーーという根本的な疑問すら判然とせぬまま最終章へと雪崩れ込むプロットの妙を久々に堪能した。
 上には「7年ぶりの長編」と書いたが、私がこの作者の小説を読むのは『おしまいの日 』以来、何と17年振り(!)だったりする。新井素子作品から遠のいてしまった理由は非常に単純で、あの独特の文体のせいである。アレを読んだり書いたり出来るのは30台前半くらいまでではなかろうか、というのはかなりの偏見かもしれないが、書いている作者も読むこっちもいい歳だと思うと、恥ずかしさが先に立って仕方がない。中高生向けエロ写真集に手を出すよりも勇気が必要なのである。
 ただ、本作については、メインの語り手が女子大生。その他の語り手もどこか成長し切れていない大人なので、お馴染みの文体が、彼らの幼さに見事マッチング。素直に新井節を楽しむことが出来たので、めでたしめでたし。でも、「あとがき」はいくらかキツかったけどな。

 陽湖が語り手の章は本質的には不要(幾つかの伏線はそこで語られているが、他の章に振り分けることが出来なくはない)なのだが、本筋と離れたところで読み応えがあるってえのは、作者の小説巧者振りの証か。でも、ここを省いて、すっきりとした中編に纏めたバージョンで読んでみたかったようにも思う。

banner_01.gif← 新井素子って生きてたっけ? というのは知人の弁(氷室冴子とごっちゃになっている模様)
posted by omsoc at 00:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月15日

「Another」綾辻行人

Another
Another
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-30
売り上げランキング : 3086

おすすめ平均 star
starこれこそ、綾辻さん!
starそうきたか!!
star神か悪魔か、綾辻行人か!

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 「学校の怪談」をモチーフとした長編。ジャンルとしてはホラーに分類されて然るべきだが、あちこちにミステリー的手法と趣向が凝らされているので、館シリーズを愛する皆さんも楽しめる筈。
 『暗黒館の殺人』同様、かなり大部なのだが、ミステリーとしての要素に重点が置かれなかった分、ストーリー展開に起伏が生まれたせいか『暗黒館』のように冗長と感じることは殆どない。瑞々しい中学生の描きっぷりもナイス。『びっくり館の殺人 』もアララな出来だったのでどうなるかと思ったが、大分復調したという印象。
 「ホラーとミステリーの融合作」としては道尾秀介の活躍が目立つ昨今だが、「若い者にはまだまだ負けんわい」というベテラン作家(?)の心意気が伝わってくるような佳作、という評価でまず間違ってないかと思う次第である。

banner_01.gif← とはいえ、通勤の行き帰りで読むのはちょっと大変であった……
posted by omsoc at 02:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月24日

「チョコレートゲーム」岡嶋二人

チョコレートゲーム (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
チョコレートゲーム (双葉文庫―日本推理作家協会賞受賞作全集)
双葉社 2000-11
売り上げランキング : 587419

おすすめ平均 star
star社会派と本格の見事な融合
star岡嶋文学の最優秀作品。

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 この作品が出版されて比較的すぐに読み、それ以来の再読なのでーーうわっ、ほぼ30年振りなのか。月日の流れる速さにただびっくりである。
 さて、日本推理作家協会賞を受賞し、岡嶋二人の代表作の一つと評されているであろう本作。だが、正直なところ、岡嶋二人作品としては水準作程度の出来だなあと、約30年前(←しつこい)の初読時に感じたし、その感想は再読した今回も同様であった。タイトルの「チョコレートゲーム」の正体が本作のキモなのだが、これが世間で非常によく知られた「ゲーム」なんだよなあ。しかも、この「ゲーム」というのが、同じ作者の某作品に登場する非常に優れたトリックと相通じるものがあって、アッチを知っていてコッチを読むと、かなりションボリなのである。
 作者の狙いが「そんな『大人のゲーム』を中学生たちがやってしまう」という皮相さを描き出すところにあることは理解できるのだが、それでも長編ミステリーを支える「大黒柱」とするにはちょいと脆弱であった。アリバイトリックやらダイイング・メッセージ(もどき)でつっかい棒を施すような小細工を弄さず、メインのネタだけでスッキリと(多少長めの)短編にまとめればどうなっただろうか。

 その辺りについて、作者自身、少なくとも片割れの一人である井上夢人はよく理解していたと察する。というのは、コンビの誕生から解散までを描いた『おかしな二人―岡嶋二人盛衰記 』において、本作はほぼ完全スルー。推協賞受賞作という大きな栄誉をもたらした作品であるにも関わらず、である。
 この作品、元は、乱歩賞30周年を記念して講談社ノベルズで「乱歩賞作家が新作書き下ろしを上梓する」という企画「乱歩賞SPECIAL」の一作として出版されたものである。「乱歩賞SPECIAL」は4回か5回に分けて数冊づつ発刊され、『チョコレートゲーム』は最後に出版された数作品の中の1つであった。そして、その最後に出版された分は当初の予定日より幾らか遅れて店頭に並んだと記憶している。つまり、相当締切に迫られて書かれた作品であり、練り込みの足りなさは重々承知の上で発表されたものである、というのが私の想像。『遅れてきた年賀状』(『記録された殺人 』に所収)という短編が、やはり不本意な形で書かれたにも関わらず世評が高く、井上夢人は釈然としなかったことが『盛衰記』には記されている。『チョコレートゲーム』の受賞についても、井上夢人は手放しで喜ぶ気になれなかったのだろうか。

 なんだか腐してしまったが、「岡嶋作品としては水準作レベル」かもしれないが、国産ミステリー全体の中で考えれば、決して凡作ではないということは強調しておきたい。ヘンにケレン味のない、いかにもこの作者らしい文体は、ともすると陰惨さのみが際立ちそうな内容を抵抗なく読ませる娯楽作品に仕立てている。また、「小学生がライブドア買って大損」のような近年の風潮を思い起こすと、非常に先見性のある社会派ミステリーとも読める。2010年の今となっては若干古びてしまった作品かもしれないが、30年前に思いを馳せつつ読むのであれば、十分に楽しめる作品だと思う。

banner_01.gif講談社文庫版の表紙絵は思いっきりネタバレ
posted by omsoc at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月17日

15年

 今年も5時30分には起き、テレビを付け、まずはあちこちのチャンネルを見てみる……何ですか、この通販番組の嵐は。
 結局、5時46分に震災地からの中継を行ったのはNHKだけであった。

 ふと気が付いたので、カレンダーを確認してみると、閏年のいたずらゆえに、1月17日が日曜日になるのは1999年以来11年振りのことなのであった。99年は関西にいたので、今年が首都圏に移動して来てから始めて迎える「日曜の1.17」。なので、番組編成にすごく違和感があったのだな。
 果たして、関西では、各局どのような中継態勢だったのだろうか。

banner_01.gif← 数日前のハイチの、あるいは数年前のスマトラのものなどに比べれば、「軽微」ということなのでしょうけど
posted by omsoc at 19:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月11日

ここ3ヶ月くらいの視聴ドラマ感想

 昨日の某ドラマの感想を不特定多数に向けて発信したいだけなんだけど、それだけではあんまりなので、最近視ていた他のドラマについても一言二言書いてみる。

『最後の約束』:「三振かホームランかの金子茂樹脚本作品」というだけの理由で録画視聴。……三振でも、「ドガベン」の岩鬼みたいに、バットをバックスクリーンに放り込んでくれるような豪快さがあればまだしも、単なる見逃し三振ではなあ。視る前からネタが割れている(地下鉄内で見掛けた番宣ポスターで分かった)時点でアウトなんだが、そもそも企画の出発点がそこにあったと推察するので、ある意味、しゃーない。しかし「後輩なんぞの助けを借りず、全部5人でやってました!」くらいの細工を映像でやってくれないと、このネタはダメだろ。
 脚本もダメなら演出もダメダメで、サスペンスもので、ここまで緊迫感ゼロなのは特筆もの。私の想像では、ジャニーズ事務所からあれやこれやと内容に注文を付けられ、「所詮は嵐のプロモーションドラマだよな」と割り切った制作陣はやる気ナッシング。かくして、こんな創作意欲ゼロな駄作が出来ました、と。
 ついでに書いておくと、嵐の面々の演技もスゴい。特に櫻井。「木更津キャッツアイ」の時と雲泥の差である。なぜか、小堺一機だけ楽しいそうだったのが印象的(単にヤケクソだっただけなのかも)。

『東京DOGS』:昨秋の連ドラナンバーワンはこれ。周囲では「三浦友和がアヤシイ(それじゃ『流星の絆』じゃん)」「バーコードおやじ(失礼!)がアヤシイ(『アンフェア』かよ!)」などなど、諸説入り乱れていたが、そんな小細工を弄さなかった潔さが、まず素晴らしい。加えて、シリアスとコメディの混ぜ加減が絶妙。特に、田中好子と小栗旬のボケ親子問答には何度泣かされたか(当然だが笑って、である)。勿論、メイン3人のやり取りもお見事でした。さすがは「33分探偵」の脚本家である。吉高由里子はどうも受け付けなかったんだが、本作で評価急上昇。「女の子なのに(以下略)」は2009年国産連ドラ名ゼリフ大賞候補かも。

『JIN −仁−』:今更言うまでもないけどラストが酷すぎる。ここまで丹念に積み上げてきた全てを台無しにしてどうするよ。

『ギネ』:「ハヤカワミステリ」で取り上げられているのを見掛けたのでミステリーかと思ったら、全然違っていた(苦笑)。それはさておき、産婦人科の現状を真摯に描こうとした制作側の姿勢は評価したいが、主役の方がねえ。香椎由宇くらいの鉄仮面ぶりを見せて欲しかった。

『相棒』(第8シリーズ):相棒役が寺脇康文からミッチーに代わってどうなるかと思ったが、意外とイケテる。水谷右京とのイヤミ合戦は案外見ていて楽しいです。しかしなー、ミステリー的に冴えた回がないのが残念。強いて挙げると「錯覚の殺人」(脚本・戸田山雅司)がここまでのベストか(世評ではハセベバクシンオー脚本作品の人気が高いようだが、そうでもないと思う)。未見の正月スペシャルも含め、今後の健闘に期待。

『救命病棟24時 〜2010スペシャル〜』:前半の過去映像再編集分で視るのを止めて、後半の新作部分まで辿り着かなかった視聴者が多数いると見た。まあ、新作部分もどうってことのない内容だったので、最後まで付き合った私はバカです。
 
banner_01.gif← 仲間由紀恵『アンタッチャブル』は初回の10分で投げ出した。傑作だったという方はお知らせ下さい
posted by omsoc at 01:58| Comment(2) | TrackBack(0) | ドラマ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月09日

「粘膜蜥蜴」飴村行

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)
粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-25
売り上げランキング : 12378

おすすめ平均 star
star稀に見る構想力と"虫酸が走る"描写力とで読む者を圧倒する傑作
star今年読んだ中で、一番面白かった。
star坊っちゃん応援歌

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 昨年末、「このミス」を始めとする数々のミステリー系アンケートで上位にランクインし、絶賛好評発売中の怪作ホラーである。
 舞台は軍国主義が蔓延る戦前の日本。全体は三章で構成されており、町で権勢を誇る病院の御曹司・月ノ森雪麻呂に招かれて月ノ森家を訪れた堀川真樹夫が、雪麻呂の暴君的な振舞いにより、かなり困ったちゃんな事態に巻き込まれるエグめな第一章。ところ変わって、東南アジアの「ナムール」なる国を舞台に、真樹夫の兄・美樹夫が軍命により密林サバイバルを繰り広げるグロめな第二章。そして、第一章、第二章で登場した人やら物やらが一同に会し、いやぁ、もう、だめぇ、ということになるゲロい第三章、となる。
 話の先が見えない上に、グロゲロな描写がリアルなので(書かれた文章を元に情景を想像しようとしたら、気分が悪くなりそうになって、想像を中断したことが一度ならずあった、ということは告白しておく)、お化け屋敷と見せ物小屋に同時に入ったような読書体験を味わうことが出来る。
 作りの緻密さはそこいらのミステリー顔負け。ラストでは、「ああ、あれとこれとそれとが伏線だったのかっ」とちょっとしたビックリ感も味わえる。あれやこれやのギミックの扱いも実に効果的で、例えば「コウカ・コウラ」が第一章で登場したのは、第三章であんなことをしたいがためだったとは。
 惜しいのは、最後の最後で若干ヌルくなってしまったところ。ここまでやったのであれば、読者の不快感を煽ることに徹して、初志貫徹して欲しかった。読了したことを後悔させるような悪夢的展開を次作には期待してます。

 読んでいる間、なぜか山田風太郎を想起したのだが、巻末解説に「東京歯科大学出身(中退)」とあったので、勝手に納得。人体相手にした日々を過ごすとこんな小説が書けるんだ、ってそれは私の偏見か。忍法は出て来ないけど、風太郎ばりの奇想を数段バカ方向(ここでの「バカ」は勿論褒め言葉です)に振ったらこうなった、とも解釈出来るので、そちら方面のファンも是非お読み下さい。 

banner_01.gif← 本作を映像化しようと考えるおバカの登場も期待してます
posted by omsoc at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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